椎間関節性の腰痛が関節の変性から生じるものだとすれば、筋・筋膜性腰痛は文字通り、筋肉や筋膜にトラブルが生じて発生する腰痛です。
脊柱起立筋とは背中から腰まで縦に伸びている筋肉に、とりわけトラブルが起こりやすいのが特徴です。
一般的には筋肉が縮んでいる時の方が、ストレスがかかると思われがちですが、実は筋肉を伸ばしているほうがストレスが強くかかるのです。
デスクワークは典型的な例で、前かがみになっている時間が長いと脊柱起立筋にストレスが日々蓄積されていきます。スマートフォンの操作も同じことが言えます。下の絵からも首から腰までの筋肉が過剰に伸ばされているのがお分かり頂けると思います。
この伸ばされた筋肉に何が起きているかというと、まず筋肉の血流の低下が起こります。そして筋細胞へ十分な酸素が送り込まれなくなり、乳酸などの老廃物がたまっていきます。
そうすると筋肉が膨張し、筋肉を覆っている筋膜がクシャミなどの少しの衝撃で筋膜に裂傷が起こり、ギックリ腰を発生させてしまいます。
血流が悪くなった脊柱起立筋の筋膜は徐々に慢性化し膨張していきます。そして、クシャミや重いものを持った時、筋肉に更に内圧がかかり筋膜が破け、ギックリ腰になってしまいます。
背中を丸めるのは楽ではありますが、実は筋肉にとっては非常に苦しい姿勢であることを、覚えて頂けたらと思います。
参考文献
開業鍼灸師のための診察法と治療法:医道の日本社
プロメテウス解剖学アトラス:医学書院
身体運動の機能解剖:医道の日本社